いつもはそんなことはなく、きちんと小銭を用意してから、バスに乗るようにしているんですが、この日はたまたま、妻と目の前に来たバスに飛び乗ったあとに、そのことに気がついたんですね。
「どうしようか」
「仕方ないよ。降りる時に運転手さんに言ってみようよ」
僕達が座った席は、運転手さんの真後ろの席でしたから、そのことは間違いなく、運転手さんにも聞こえていたはずなんですね。でも、運転中に声をかけるようなことは、迷惑だと思って、とにかく話をそこで打ち切ろうとしたんです。
とんとん、と僕の肩を叩く人がいました。
(ん?)
と思ってその手を差し出した人の反対側の手から、すっと100円玉が指し出されたんです。
「これ使ってください」
通路を挟んで反対側のいちばん前に座席に座っていた50歳くらいの男性が、そう言って僕に100円を渡したてくれたんです。
「え、でも…」
「いいんですよ。使ってください」
「ありがとうございました。私○○に住んでいる夢千代と申します。どこかでお会いしたら、その時にお返ししますから」
何もおっしゃらずに、静かに微笑みながら、そのままバスに乗って行ってしまわれました。
当のバスの運転手さんはと言うと、
降りる時に、
「細かいのを用意してください」って…。
ちょっとがっかりしましたね(+o+)
どうして、
「いい方がいて、良かったですね」
と言えないんでしょう?
職務をまっとうすることだけが、仕事と言えるのでしょうか?
それに比べて、100円の紳士は、まるでお地蔵様のような方でした☆
…そこで思い出したんですね。
その日の前、実家に行った時に、母が模様替えをしていました。
神棚の下に置いてあった、僕のお地蔵様がよそへ置かれて寂しそうな顔をしていたんです。
このお地蔵様は、僕が小学校の時に鎌倉のお土産やさんで買ってきた、石造りのお土産ものです。
不思議昔から、このお地蔵さんに願いを掛けると、ちゃんとそれが叶っていました。
そして、お地蔵様の隣りには、同じ頃に買った長谷の大仏さんの小さな姿の像が、いつも置かれていました。
僕は、この二体を紫微垣に持って来て、そのままお祀りしたばかりでした。
子供の頃からずっと、僕を見守ってくれていたお地蔵様。。
なんとなく、実家にあるいつもの場所に置いてあるのを見て、安心していた自分がいたんですけれど、やっぱりこれからもずっとそばにいて、見ていただいていたほうが良いですよね。
これからもよろしくお願いします(^。^)
夢千代
お地蔵様画像
0 件のコメント:
コメントを投稿